「平家物語」がアニメになっていること、ご存知ですか?
しかも、アニメーションを見た感想は、めちゃくちゃ面白い!
そんな平家物語を評価、レビューします。(特段ネタバレはありません)
平家物語といえば「祇園精舎の鐘の声」と滅びの美学
平家物語といえば、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり 娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす・・」
この物語冒頭の言葉を、暗記したことがある人が多いのではないでしょうか?
そして歴史の結末も皆さんご存知のとおり、権勢を誇った平家(平氏)は源氏に幾度も戦いで破れます。そして、平家は滅亡します。
でも、それ以上覚えていない、そうではありませんか?
誰でも知っているはずなのに、中身を覚えていない、もしくはよく知らない、そんなことってありますよね。
諸行無常、永遠に変わらないものはありません。
代々語り継がれてきた物語、そこには日常を生きるヒントや悩み、思いがあるはずです。
活字で読むのは気が進まない。。そうかもしれません。
実は私も、これまで平家物語を全巻読んだことはありませんでした。
アニメ化された「平家物語」の感想。かなり面白い!
そんな平家物語がアニメ化され、2022年にTV放映されました。
これがとてもいい出来なんです!
滅びゆく平家の話なんですが、キャラクターの清涼感のようなものを感じます。
幼い琵琶法師の「びわ」の眼を通じて、物語が進んでいきます。
アニメ「平家物語」は、絵が独特で、演出に特徴があります。
独特の世界観で、過去の物語を現代風の要素も入れて再構成しています。
好き嫌いが分かれる絵だと思いますが、ストーリーが進むごとに、私はだんだん好きになりました。
平家物語の原典は、激動の15年のストーリーです。
滅んで当然と思うこともあれば、この人には死んでほしくない!と思ったこともあります。
また、似たような名前の登場人物も多いため、誰が誰だかわからなくなることがあるかもしれません。
でも、長く残る物語は、やはり人が面白いのです。
原作が古典の長作なので、アニメを作るのは難しかったのではないでしょうか。
ですが、長大な話の中から、どの部分に焦点を当ててアニメーションで魅せるのか、考え抜かれて作られています。
毀誉褒貶を受けることは避けられないでしょうが、私は素晴らしい内容のアニメになっていることに驚きました。
この曲(平家物語のOPテーマ)も素敵。
戦(いくさ)の話ばかりなのかと思いきや、人々が何を思いながら生きていたのか、日常の楽しみはなんだったのか、という視点などが描かれています。
また、衣装、四季の彩、季節の移り変わりの描写、色使いが素晴らしいです。
逆に、合戦や戦闘もの中心のストーリー展開を期待している人には全く合わず、物足りないかもしれません。
生活や季節の変化が、和風タッチの襖絵のように感じるアニメーションになっていて、私にとっては新しい出会いでした。
原作を読むのはちょっと、という場合には、アニメーションガイドに記載されている説明が、かなりわかりやすいです。
平家の登場人物の家系図や、時代考証など、歴史への関心欲を満たしてくれるだけではありません。
アニメーションの技術など、アニメ映像の演出に関する内容の記載もあり、盛り沢山です。
アニメ制作の際、平家物語をどんな風に描くかの考えや、キャラデザインや背景設定などのメイキングブックも出版されています。
こちらも読みたい一冊になりました。
平家物語をきっかけに、改めて日本の「傑作」を見直そうと思った
平家物語をきっかけに、日本の文化や歴史の「傑作」や「名作」といわれているものに、もっと関心を持って過ごしたいと思いました。
最後に「平家物語」監督のインタビューです。
「せっかく日本に生まれて日本に生きてるなら、歴史に向き合ってみるのも面白い」という話が出てきます。
私も「平家物語」の名前は知っていても、その中身は知らない人でした。
でも、アニメをきっかけに歴史に関心を持ったり、人々の喜怒哀楽の感情、寂しさなどを再認識した気がします。
海外に行くと、日本のことを聞かれるけれど、自分は日本の文化や歴史をよく知らない、ということがあり、自分が空っぽに思えることがあります。
長く語り継がれてきた歴史や文化をもっと知りたい、と思うことがありますよね。そう思ったことがあるなら、「平家物語」はお勧めです。
とっつきにくい歴史に意識を流し込んでくれます。
平家物語は戦乱の世の中を描いた物語ですが、今も世界のどこかで戦乱、騒乱が起きています。
「平家物語」のような良質のアニメを自宅でいつでも見られるのは、本当はかなり贅沢なことです。
古典原作の名作アニメ「平家物語」を、あなたも一度見てみることをお勧めします。
アマゾンプライムなどの動画サブスクでまとめて見ることができます。